ポリウレタンは、私たちの衣類やバッグに実はとても多く使われている生地です。デニムパンツからスマホケース、その他様々な製品に採用される重宝されるポリウレタン素材の特徴とメリット・デメリットを探ってみましょう。
目次
ポリウレタン生地の特徴とメリット
ポリウレタンは、1940年頃ドイツで開発された、5~10倍の伸縮性を持つゴムのような生地です。合成皮革のコートや、伸縮性のある衣類やスポーツウェアに使われているのがポリウレタンです。
フェイクレザーといわれることもあり、皮のような質感に見えるのに安く手に入れられるということで人気が高まっています。フェイクレザーのバッグやブルゾンなら、本革製品より手に入れやすい価格です。ユニクロの大人気シリーズであるデニムパンツやヒートテック製品にも使われている素材です。
伸縮性のある素材で用途は様々
ポリウレタンは、天然ゴムの代替品として開発されたものです。正式名称はスパンデックスと呼ばれます。伸縮性があるうえ、天然ゴムの5倍~8倍の強度がありますので、ポリウレタンを2~3%配合したデニムは、買ったその日から伸びて身体にフィットし、履きやすいのです。また、伸縮性があるためしわになりにくいというメリットもあります。
ストレッチが効いていて強度もあるので、スポーツウェアをはじめ下着、レオタード、ガードル、水着、靴下、ストッキングなどにも多く使われている素材です。
軽くて乾きやすい
ポリウレタンの良い点はまだまだあります。お洗濯して乾くまでの時間が早いということです。これは天気の悪い日や、部屋干しするときには特に嬉しいメリットですね。軽くて乾きやすいので、洗濯して着回せますので旅行のときに持っていく衣類としても重宝します。ポリウレタンの軽さは、バッグやシューズに採用されています。
衝撃強度が高い
後ほどご紹介しますが、縦・横の引っ張りに強いちぎれにくい性質を持っています。抗張力が高いため、シューズのインソールや保護カバーやケースの素材としても採用されています。
他の素材と混ぜて使うことができる
コットンをはじめ、レーヨン・ポリエステルの異素材との相性も良いので、様々な素材と配合されています。また、バッグの内部コーティングや革風のパンプスなどにも生かされています。
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ポリウレタン生地のデメリット
伸縮性もある上に丈夫なポリウレタン、悪いところはないように思えるほど優秀な生地ですがそのデメリットをご紹介します。
水に弱い
ポリウレタンは、水に弱い性質を持っています。ポリウレタン製品は、製造したそのときから空気中の水分に反応し加水分解が始まり、その製品寿命は2年~3年といわれています。ポリウレタンが配合されたジャケットやバッグの表面が、ぽろぽろ剥がれてきた経験はありませんか?空気中の水分で劣化してしまった結果です。
湿度・温度の変化に弱い
水分に弱いので、湿気や温度変化にも弱いデリケートな生地です。温風で乾かす乾燥機にかけると必ずと言っていいほど縮んでしまいますので、お気をつけください。
紫外線に弱い
水、湿度に弱いポリウレタンは紫外線の刺激にも弱いのでお洗濯の際も注意が必要です。春~夏の紫外線はかなり強いので、部屋干しか影干しをして大切に扱いましょう。
ポリウレタン100%の衣類は劣化が早い
ポリウレタンの弱点が色々ありましたね。ポリウレタン配合比率が5%くらいならまだ良いのですが、100%ともなると劣化がさらに早くなります。着用していても、しまっていても毎日劣化が進みます。
ポリウレタン100%、もしくは配合比率が高い製品はダメになるのが早い性質だと理解したうえで購入しましょう。
ポリウレタンがよく使われる服・衣類
続いては、ポリウレタン生地がよく使われる衣類や場面をご紹介します。伸縮性があるので、スポーツの場面でも採用されている素材です。よく似た名前で「ポリエステル」素材は、日本で最も多く生産されている化学繊維です。名前は似ていますが、ポリエステルにはない優れた伸縮性が大きな魅力の素材です。
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スポーツをするには伸縮性は必須です。そうなるとポリウレタンの出番ですね。スポーツウェアはコットンのみだと、汗を吸って乾かす時間がかかったり汗で重たくなってしまいスポーツには不向きです。そこにポリウレタンを配合すると、吸湿性、伸縮性、身体へのフィット感がアップし、ストレスなく動けるようになります。スポーツの場面でもなくてはならない素材なんです。
有名スポーツメーカー『アンダーアーマー』も、従来にはなかったポリウレタンを5%配合した『チャージドコットン』を発売し、スポーツウエアの機能性はそのままに、着心地まで追求しています。
下着類
伸縮性といえば、下着にも必要な機能ですね。体型の変化にも対応できますし、脱いだり脱ぐときにストレスを感じません。例えば、コットン100%のブラジャーを想像してみてください。
吸湿性と着心地は素晴らしいかもしれませんが、伸びないので着けるときにストレスになりますよね。そこにポリウレタン生地を2~3%配合するだけで、伸縮性がプラスされた着心地も良い下着になります。
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「ストレッチ」と書かれている衣類に使われる
ユニクロのストレッチパンツをはじめ、「ストレッチ」とネーミングの付いているストレッチウェアには必ずと言っていいほど、ポリウレタンが使用されています。ストレッチ性があると、スポーツ以外でも家事をするにも楽ですし身のこなしもスムーズになります。
デニムやズボンは、デザインも重要ですが着心地もポイントです。ごわごわして動きにくいデニムより、履きやすいデニムの方が結果として支持を受けているのです。
デニム=コットンでできているイメージかもしれませんが、最近のデニムには伸縮性が重要視されているので、ポリウレタンをはじめとした合成繊維が配合されていることが多いです。
子供に服を汚されてもユニクロの低価格商品ならそこまで気にならず、フィット感も叶えてくれるデニムは子育て中ママに絶大な支持を得ています。冬になるとヒートテック&ストレッチが叶うヒートテックストレッチフリース長袖も発売されます。
スマホケースやスピーカー
ネット通販で「PU素材で滑りにくい」「PUケースは手にフィットします」などでスマホケースをアピールしています。PUとはポリウレタンの略したものです。衣類や下着以外のスマホケースにも多様されているほど、滑りにくく丈夫な素材なのです。
このケースを装着してスマホを持つと、フィット感があり動画視聴や長電話をしても滑りにくいと人気です。ポリウレタンの弱点である劣化の早さがスマホケースやスピーカーとしては懸念されますが、劣化を抑える特殊加工コーティングがされています。
軽量バッグ・軽量シューズの実現
ポリウレタンの軽い素材という特徴を生かし、軽量バッグや軽量シューズにも採用されています。スポーツ選手にはもちろん、軽くてクッション性もあるシューズや軽量ランニングバッグなどになくてはならない素材です。
また軽量シューズやバッグは、お年寄りにも嬉しい効果をもたらします。靴が軽くなることで「歩くのが楽になった」と高評価を得ています。バッグも以前のものより軽くなることで、外出も億劫にならず気軽に出かけることができますよね。
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フェイクレザー製品
ソファーや車のシート、財布やライダースジャケットなどの「フェイクレザー」製品にもポリウレタンが使用されています。織物や編み物の生地の表面にポリウレタンを塗布することで、本革製品のような光沢のある質感を再現することができるのです。
フェイクレザー製品は本革製品と比べて撥水性が高く、水濡れや汚れに強いため、定期的にお手入れする必要がありません。また、安い価格で手に入れることができるのも大きなメリットです。
ポリウレタン生地の取り扱い方
ポリウレタンの性質の次は、お洗濯や汚れた場合の対処方法をお伝えします。少しの心がけで劣化をおさえ長く使えるようになりますよ。
水に濡らしたままにしない
ポリウレタンは水に長時間触れたままだと加水分解が進みますので、雨に濡れたりジュースをこぼした場合はすぐに拭き取りましょう。自然乾燥はよくないので、気づいたらすぐに拭いて水分をできるだけ取り除きましょう。押入れやクローゼットにしまう場合も、衣類圧縮袋に入れて湿気を遮るか、湿気取りを置いてあげましょう。
防水スプレーを活用する
せっかく気に入って購入した洋服やバッグ、長持ちさせたいですよね。そんなときは、防水スプレーを活用しましょう。こちらをかけてコーティングすることで、劣化スピードを遅らせることができます。ポリウレタンに使えない防水スプレーもありますので、下記製品がおすすめです。
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ポリウレタンの洗濯方法
洗濯表示を確認する
ポリウレタン生地でできた衣類の多くは洗濯機にかけることができます。水洗い不可のものもあるため、洗濯する前にはまず洗濯表示を確認しておきましょう。
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ポリウレタンは劣化が早い素材です。特に生地の表面をポリウレタンでコーティングされているフェイクレザー製品などは、コーティングがはがれて表面がひび割れたり、湿度によってベタつきが出ることがあります。ポリウレタンの劣化が進んでいるときは自宅での洗濯は控え、クリーニング屋さんに相談することをおすすめします。
洗濯機で洗える場合の洗い方
①洗濯ネットを使用する
他の衣類との摩擦を避けるために、汚れの部分が外側になるように服をたたみ、洗濯ネットに入れます。ネットを使用しない場合も、衣類のファスナーやボタンはきちんと閉じて洗濯機に入れましょう。こうすることで洋服のねじれを少なくすることができますよ。
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②デリケートコースでやさしく洗う
衣類を入れた洗濯ネットを洗濯機に入れます。洋服に与えるダメージを軽減させるために、少量の水でやさしく洗うことができるデリケートコース(ドライコース、手洗いコース)を選択するようにしましょう。
③中性洗剤を使う
素材を傷めにくいおしゃれ着洗い用の中性洗剤を使います。また、ポリウレタンは塩素に弱い素材なので、漂白剤は絶対に使用しないようにしましょう。
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④短時間で脱水する
脱水に時間がかかると繊維が絡まり衣類が縮んでしまう可能性があるので、長くても1分以内に設定しましょう。脱水が終わったら時間を置かず、すぐに干すことで衣類のしわや型崩れを防ぐことができますよ。
手洗いで洗える場合の洗い方
①洗浄液をつくる
洗面台などに30℃以下のぬるめの水をはり、水量に合わせておしゃれ着洗い用の中性洗剤を溶かします。
②手で押し洗いする
洗浄液に衣類をつけて、5分ほど手のひらで優しく押し洗いし、汚れを溶かしていきます。
③すすぐ
2〜3回きれいな水に入れ替え、衣類についた洗剤を洗い流していきましょう。ポリウレタン素材は水に弱いので、汚れを落としたいからといってつけ置き洗いも厳禁です。
④デリケートコースで脱水する
軽く水を切ったら、洗濯機の場合と同様に、たたんで洗濯ネットに入れます。手洗いの場合もデリケートコースを選択し、短時間で脱水します。
水洗いができない場合
洗濯表示に「水洗い不可」マークがついているものは家で洗濯できませんが、少しの汚れであれば家でも簡単にきれいにすることができるのです!
「水洗い不可」でも大丈夫!家で簡単にできる汚れ落とし法
まず、汚れている部分を濡れた布やタオルで叩くように拭きます。ひどい汚れには薄めた中性洗剤を使って拭いてもかまいませんが、洗剤が残らないように清潔な布で水拭きをしておきましょう。最後に衣類に湿り気が残らないようにしっかり乾かせばOKです!
おすすめの洗濯洗剤
『エマール』(花王)
洗うたびに形を整える「カタチコントロール洗浄」で、洗濯ダメージを与えずに汚れや臭いをしっかり落としてくれる中性洗剤です。生地の繊維をしなやかに洗い上げ、衣類の型崩れを防ぎます。
『エマール』のおしゃれ着用洗剤はニットにウールやレーヨンもシワなく洗える!製品特長と正しい使い方『アクロン』(ライオン)
洗いながら衣類の形を整えてくれるおしゃれ着用洗剤です。泡切れが良いため洗浄成分が衣類に残りにくいため、洗濯機のデリケートコースを選択した場合、すすぎは1回で大丈夫です。
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直射日光に当てない
ポリウレタンは紫外線に弱く、直射日光に当てると黄ばんでしまうことがあります。そのため直射日光が当たる場所は避け、風通しのいい日陰か部屋干ししましょう。
しっかり乾燥させる
ポリウレタンは湿気に弱い性質を持っているので、湿り気が残らないようにしっかり乾すことが大切です。生地が分厚いものは、完全に乾くのに時間がかかるので、2日ほど干すと安心です。セーターのように平干しすると、衣類への負担も減らすことができますよ。
ポリウレタン生地の特徴を知って上手におしゃれを楽しもう!
いかがでしたか?普段何気なく使っているモノや衣類に、ポリウレタンが使われているのが分かりましたね。性質が知るとどのように扱ったらいいか分かってきますので、もしボロボロになったら割り切って処分しましょう。
着心地を向上させたり、機器を保護する素材やスポーツウェアなど私たちの生活に欠かせない素材といっても過言ではありません。劣化が早く寿命が短いのが難点ですが、その分低価格で革風のジャケットを着られると考えたらお得かもしれません。
お洗濯や湿気に注意しながら扱うことで劣化を防ぐことができますから、デリケートなポリウレタン製品を、大切にしながら賢くおしゃれを楽しみましょう!