「なんだか肌がかゆい」「咳込むことが多くなった」その症状は、もしかしたら布製品についたダニのせいかもしれません。除去の方法として思いつくのが洗濯ですが、本当にダニが除去できているのでしょうか?記事ではダニを駆除する方法についてご紹介します。
目次
まずは布製品につくダニについて知ろう
ダニは私たちの生活と密接に関わっていて、モノや動物、虫などを介して簡単に侵入してしまいます。そのためどれだけ気をつけたとしても、ダニを完全に除去することは難しいでしょう。
種類は様々ですが、家庭では『ヒョウヒダニ』が多く存在し、一定数を超えるとヒョウヒダニを餌とする『ツメダニ』が繁殖するという悪循環を生むので、なるべく繁殖させないようにすることが重要です。
ダニが繁殖する理由
ダニは衣類や寝具などの布製品を好み、繊維に隠れるようにして潜んでいます。そこから次のような条件が揃うと繁殖してしまうので注意をしましょう。
暖かい温度
ダニは高温を好み、20~30℃の温度で活発に動き繁殖活動を始めます。これは適温とされる室温と重なるため、私たちが過ごしやすいと感じているならダニも同じということとなります。
20℃以下となるような冬の低い温度ではダニの動きがにぶりますが、死んでいるわけではないので、暖房をつけてしまえば繁殖の可能性があるでしょう。家ダニは季節を問わず、繁殖しやすい環境のなかにいるということです。
湿度が高い
ダニは夏に繁殖するイメージがあるのは、多湿の環境を好む特徴からでしょう。ダニが繁殖するためには65%以上の湿度が必要なため、梅雨から夏にかけてのジメジメとした気候はうってつけの環境です。
逆に湿度が低い環境にはめっぽう弱く、繁殖できないどころか死滅する可能性もあるため、多湿に気をつけるだけでかなりの効果が期待できます。
ダニの餌がある
快適に過ごせる環境があっても、餌がなければ生きていくことはできません。ダニはアカやフケ、髪の毛までも食べるので、人間がいるかぎり餌に困ることははいのです。そのため、長時間使用する寝具でダニが繁殖しやすくなります。
ダニを放置するとどうなるの?
ダニが生きている間は、私たちの身体を刺すという直接的な被害があります。では、死んでしまえば安心なのかというとそうではなく、死骸や糞、抜け殻などもアレルゲンとなって体に害を及ぼすので大変厄介です。具体的な被害を見てみましょう。
肌のかゆみやかぶれ
人を刺すダニとして有名なのが『ツメダニ』と『イエダニ』です。刺されると皮膚が赤く腫れ、激しいかゆみを伴います。かゆみがなくなるまでに1週間~10日程度かかるので、蚊などの害虫に刺された時より長引くのが特徴です。
さらにイエダニはただ刺すだけでなく、吸血をすることがあるので感染症の危険があります。主にネズミに寄生する種類なので、もしもネズミを見かけたらイエダニにも注意しましょう。
また、ダニに直接刺されていなくても、敏感肌の方はダニに触れたり排せつ物に触れるだけでもアレルギー反応が出て、かゆみが起こることもあります。
アレルギーの発症
『ヒョウダニ』という種類は人を刺すことはないので油断しがちですが、存在だけでも体に悪影響なのは間違いありません。
死骸や糞でも、吸い込むだけで咳が出たり鼻水が出たりなどの症状が出て、気管支喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎といったなどアレルギー性疾患などを合併してしまうこともあります。
ダニは洗濯機で除去できるの!?
洗濯機では洗剤も使用しますし、水の流れや脱水などの威力でダニを死滅させることができそうですよね。布製品には高確率でいるダニを除去するために、洗濯は効果があるのか、詳しく見てみましょう。
ダニはしぶとい!洗濯機だけでは難しい
ダニは私たちが思っている以上にしぶとく、通常の洗濯では死滅させることは難しいといわれています。
洗剤が溶けた水に1週間つけても死なない
汚れを落す洗剤の威力を考えればダニをも殺しそうですが、洗剤水に1週間つけても死ななかったという実験結果が出ています。そんなにしぶといのなら、1回の洗濯ぐらいでは死滅させることは難しいですよね。
ただし、死骸や糞は洗い流せるので、アレルギーの発症は減らせるでしょう。
脱水の衝撃に耐える
洗濯機の脱水時の音は意外に大きくなかなかの衝撃ですが、この遠心力だけではダニを完全に死滅させることは難しいでしょう。
水を通す袋にダニを入れ、すすぎと脱水を繰り返した実験では、ほとんどのダニが生きていたそうです。この結果から、薄手の生地なら圧力でつぶせる可能性もあることがわかりますが、毛布などの厚手のものは、より効果が薄くなるのでダニの死滅は不可能でしょう。
洗濯機の水量で流されない
「殺すことができないのなら、流してしまえばいい!」と思うかもしれませんが、ダニにはカギ爪がついていて、これで繊維をしっかり引っ掛けなかなか離してくれません。
これは厚手の衣類になるほど威力が高くなるため、洗濯機の流水程度では剥がせないといわれています。ダニの種類によっては掃除機の吸引にも耐えてしまいます。
・出典:科学で ダニを撃退せよ
布製品の種類によって除去率が異なる
ここで確認しておきたいのが、布製品の種類によっては洗濯機でも十分に除去が可能という点です。なかなかしぶといダニですが、布が薄ければ深くまで潜ることができず、簡単な衝撃で剥がせます。
通常の衣類やシーツ類は除去率90%以上
薄手の布製品なら、通常の洗濯でもダニの除去率は90%以上という結果が出ています。死滅させられなくても洗い流せるので、洗濯頻度を多くして、ダニの除去を心掛けましょう。
シーツの洗濯頻度ってどれくらいが良い?夏と冬で洗う回数も異なるタオルケットや毛布の除去率は50%程度
シーツより分厚いタオルケット類では、半数のダニを洗い流すことができますが、残り半分は残ってしまうといわれています。洗濯機だけの対策では、ダニを除去するのは難しいですね。
タオルケットの洗濯方法・頻度・注意点!ふわふわにするコツもご紹介 洗濯機で毛布を洗う方法!メーカー別で違う専用コース搭載洗濯機の特徴とは?掛布団などの分厚い衣類はほぼ除去できない
中綿などが使用された分厚い衣類は、ダニが中に入り込んでしまいほぼ除去できない結果となっています。掛布団の場合、ダニの除去目的の洗濯は意味がありません。
自宅での洗濯でダニの除去が期待できるもの・できないもの
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【ダニの除去率50%以上が期待できるもの】
- パジャマやシャツなど薄手の衣類
- シーツや枕カバー、その他カバー類
- タオルケット、薄い毛布、ひざ掛け
など
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【ダニの除去率が期待できないもの】
- 掛け布団、敷き布団
- 厚手の毛布
- ぬいぐるみ
- その他大型布製品
ダニの弱点!高温洗濯なら除去率がアップ
ダニは“高温”が弱点となっています。50℃以上になると時間をかけて死滅が始まり、60℃を超えると一瞬で死滅させることが可能です。そのため、ダニを死滅させるためには熱湯や熱風が効果的で、上手に利用すれば洗濯機でもダニ対策ができるでしょう。
また、死骸や糞は通常の洗濯でも洗い流しやすいですが、熱湯につけると溶かして分解することができるので、より高確率での除去が見込めます。
熱湯を利用した洗濯方法
バケツなどに60℃以上の熱湯を用意し、ダニを駆除したい布製品をしばらく浸け置きしましょう。その後通常の洗濯をするだけです。洗濯でダニの死骸を流すことができますし、もしも死滅していなくても、弱って動けなくなっているはずなので、通常の洗濯でも流しやすくなります。
熱湯での洗濯は、日本であまり馴染みがありませんが、実は海外ではメジャーな方法です。熱湯が使用できるも販売されていて、ダニ対策に効果的とされています。しかし日本の洗濯機は熱湯には対応しておらず、無理に使用すると部品などを傷めるおそれがあります。熱湯を使用する場合はバケツやバスタブを利用するなどしましょう。
予洗い|洗濯機に入れる前の一手間で汚れと臭いを残さない! つけ置き洗い洗剤タイプ別おすすめ人気15選!汚れの度合いや種類に合わせた洗剤を選ぼう熱湯を使用するときの注意点
熱湯を使用する場合気をつけなければならないのが、布の素材です。綿素材の敷き布団や掛け布団ならば丈夫なので、ダニの駆除に熱湯を使用して問題ありませんが、高額な繊維のシルクなどは熱に弱く、傷めてしまうことがあります。
また、羽毛などは水に濡れると獣臭さなどが際立つので、しっかりと乾燥させることが必要になり、扱いが難しく感じるかもしれません。
熱湯を使用して良いか悩んだら必ず洗濯表示を確認し、まずは水洗いが可能なのか、さらに温度は何度まで耐えられるのかをチェックしてください。
素材別!お湯の使用がOK・NGリスト
素材 | お湯 | ポイント | |
天然繊維 | 綿 | 〇 | お湯ならOK。長時間は注意 |
シルク | × | お湯だけでなく水もダメ | |
毛 | △ | 熱に弱いので熱湯はダメ | |
化学繊維 | ナイロン | × | 熱に弱いのでお湯はダメ |
ポリプロピレン | × | 熱に弱いのでお湯はダメ | |
アクリル | 〇 | 熱湯でもOK | |
ポリエステル | 〇 | 熱湯でもOK | |
再生繊維 | レーヨン | × | お湯だけでなく水もダメ |
熱風を利用した洗濯方法
50℃以上の熱風が出る洗濯乾燥機なら、ダニの駆除が可能です。洗濯後に高温でタンブラー乾燥させることで、ダニを死滅させて終わらせることができます。通常の洗濯と合わせて乾燥もついたコースを選んでスタートさせるだけですのでお手軽です。
熱風を使用するときの注意点
乾燥のさせ方が『ヒーター式』・『ヒーター式低温風乾燥』・『ヒートポンプ式』の3種類あることに注意しましょう。ヒーター式は最高で80℃近くまで、ヒートポンプ式は60℃まで温度を上げることができるので、ダニの駆除は可能です。しかし、ヒーター式低温風乾燥は室温+15℃程度までしか上がらないので、ダニの駆除は難しいでしょう。
ダニを死滅させ始める温度は50℃以上ですが、衣類をその温度まで上げるには60℃以上の熱を加える必要があります。そうしないと厚手の衣類は中心まで熱が伝わり切らず、ダニが残ってしまいます。さらに、必要温度になるまでには時間がかかるので、1時間~1時間半くらい掛けて布製品の温度を上げる必要があります。
また、お湯を使用するときと同じように、使用できる素材にも注意が必要です。タンブラー乾燥は衣類にダメージが大きく、天然素材の高価なものや大切な衣類は、極力使用を避けた方が良いでしょう。枕カバーやシーツ、パジャマなどで、消耗品として割り切れるものは、積極的に使用してみてください。
ダニ駆除効果を搭載したおすすめ洗濯機2選
ダ二専用のコースが搭載されている洗濯機が発売されているので、気になる方はチェックしてみてください。
【パナソニック】ななめドラム洗濯乾燥機 NA-VX9900L/R
『ダニバスターコース』が搭載されていて、洗濯の前にまずは65℃以上の温風で約90分間の熱風を当てます。そこでダニを死滅、または衰退させてから洗濯に移行し、衣類からダニを引き剥がすようになっています。その後は流水で死骸などのアレルゲンもしっかりと流せるので、理想的な洗濯工程でダニの除去ができるでしょう。
【日立】ビートウォッシュ洗濯乾燥機 BW-DV120C
洗濯・脱水容量が12㎏と最大クラスの容量となっているので、大家族でも使用できる洗濯機です。『ダニ対策コース』が搭載され、こちらも洗濯前に50℃以上の熱風で20分以上加熱してダニを死滅させます。検証の結果では、ダニの死滅率は99%以上、ダニのアレル物質の除去率90%以上となっているので、かなり信頼度が高い洗濯機です。
【2024年最新】『日立』人気おすすめ洗濯機17選!ドラム式・縦型の特徴・違いと選び方もダニ対策に洗濯槽の掃除を忘れずに!
衣類を洗濯した後は、定期的に洗濯槽の掃除も行ないましょう。洗濯槽もダニが繁殖しやすい環境なのです。
洗濯槽でダニが繁殖しているかも
ダニのいた衣類を洗濯機で洗った場合、洗濯槽にダニが残ってしまうことがあります。洗濯槽は洗剤カスや衣類の汚れが残っているのでダニの餌となりますし、湿度がたっぷりで夏場ならダニの温床となってしまうでしょう。
ダニはオスとメスが1匹ずついれば、2ヵ月後にはそれが約3,000匹まで繁殖するといわれています。放置をするとどのようなことになるのか、考えるだけでもゾッとしますね。
【洗濯機掃除】誰でも簡単お手軽に!洗濯槽のお掃除方法を徹底解説!掃除をしないと洗濯のたびにダニが移る!
洗濯槽のダニは、布の繊維のようにしがみついて隠れる場所がないため、流水で流せば比較的簡単に処理できます。しかし、洗濯槽にいたダニを除去してから洗濯を行わないと、そのダニが衣類へ移るということが起きます。ダニを落すために洗濯にかけていたのに、逆にダニを移してしまっては元も子もありません。
洗濯槽の掃除の仕方
洗濯槽の掃除は、1ヶ月に1回は行いたいところです。夏場など高温で湿度が高いときは、さらに頻度を増やしても良いでしょう。用意するのは塩素系漂白剤だけです。
手順
洗濯機以外のダニ対策に効果的な方法
洗濯機だけではダニ対策ができないものに関しては、次の方法を試したり、併用してみてください。
コインランドリーで乾燥させる
乾燥機がない場合は、コインランドリーを利用してみましょう。コインランドリーの乾燥機は業務用で威力が強いため、70℃以上の高温が可能です。これなら確実にダニを死滅させられますので、毛布や布団などの大型衣類に向いています。
宅配クリーニングを利用する
コインランドリーまでの距離が遠い方や、営業時間内に行くことができない場合は、宅配クリーニングを利用しましょう。プロの技で汚れを落してくれ、布団などの分厚い物でもしっかり乾燥をかけてくれます。
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水洗いができないものは、布団乾燥機の熱でダニ退治をしてみましょう。布団乾燥機はその名の通り、布団にセットして湿気をとる機器で、使い方次第では衣類も簡単に乾燥させることができます。温度が50℃以上になるコースを選択し、20~30分使用すれば、ダニの死滅が可能です。
アイリスオーヤマの「カラリエ」シリーズ!ふとん乾燥機と衣類乾燥機について大調査防ダニ布団や防ダニシーツを使用する
そもそもダニが寄りつかないように、防ダニ効果のある布団やシーツを選ぶと手間が省けます。薬剤が加工してあり、高密度織り生地が使用されてダニが生息しにくくなっているので、高温多湿になってしまっても、繁殖を抑えることが可能です。
特に敷布団は汗を吸いやすく、背中にべったりと密着するものなので、防ダニ効果のものを選ぶと、ダニ被害が減るでしょう。初期費用はかかってしまいますが、大事に使用すれば長く愛用できますので、おすすめです。
ダニの除去は洗濯機だけではなく、他の方法と併用しよう!
ダニのいない家庭はありません。そこで、20~30℃の温度で、65%以上の湿度となり、アカやフケなどの掃除を怠っていると、爆発的に繁殖して、人体に悪影響を与えてしまいます。肌やアレルギーのトラブルが出てしまう前に、布製品のダニ駆除は積極的に行いましょう。
通常の洗濯でも駆除できそうに感じますが、実際のところダニはしぶとく、50℃以上の高温で対処しなければ死滅させることはできませんでした。そのため、熱湯や温風を使用した洗濯方法を行い、しっかりと駆除する必要があります。
自宅で洗濯ができない布製品に関しては、コインランドリーや宅配クリーニング、布団乾燥機などを使用することで対処できますので、あきらめずにダニを撃退してくださいね!