「ジーンズは洗濯してはいけない!」そんなことを耳にしたことがあるかもしれませんが、実はそれは間違いです。ジーンズも他の衣類と同じように、定期的に洗濯してあげることで長持ちさせることができます。そのためには正しい洗濯方法、保管方法、注意点をしっかりと把握しておきましょう。
ジーンズは洗濯するもの!
ジーンズは洗ってはいけないという迷信
ジーンズ愛好家が「ジーンズは洗濯しない」と言っているのを、耳にしたことがあるかもしれません。確かにヴィンテージ物の超がつくほどの高級ジーンズは、現状を維持するために色落ちをさせたくないなどの理由から、洗濯をしない方が良い場合もあります。
しかしほとんどのジーンズは、洗濯する必要があるのです。ジーンズは綿素材の生地で、他の衣類と同じように着用していれば汚れ、それを放置しておくと雑菌が繁殖します。そうならないためには定期的に洗濯をすることをおすすめします。
ただし洗濯の仕方を間違えると、せっかくのジーンズの色合いを損なうこともありますし、逆にダメージを与えてしまうこともあるので気をつけましょう。
シーンズを洗濯するメリット
ジーンズを洗濯するメリットを詳しく見てみましょう。今あるジーンズをすぐに洗濯したくなるかもしれませんよ!
衛生的
ジーンズはもともと作業着として生まれたので、丈夫ですし吸汗性にも優れています。そしてデニム素材は、汚れが目立ちにくいというメリットもあります。しかし素肌に直接触れている面積が多いので、知らないうちに汗や皮脂で汚れています。
そのため肌着を洗うのと同じ感覚で、洗濯をしてもおかしくはありません。ジーンズの色合いを残したいがために洗濯を躊躇していると、雑菌が繁殖して臭いの原因にもなってしまいます。
汚れを放置すれば雑菌はそれを栄養にどんどん繁殖して、ジーンズは菌の温床となってしまうのです。しかし定期的な洗濯を心掛ければ臭いの発生もありませんし、清潔なジーンズを履くことができて、皮膚にも衛生的でしょう。
色落ちで味わいのあるジーンズになる
ジーンズの楽しみ方のひとつに、色落ちがあります。愛好家たちの間では「ヒゲ」や「ハチノス」と呼ばれる、立ちしゃがみなどでできるシワによる色落ちが、味わい深いと人気です。履けば履くだけ自分だけの味わいが出せるので、世界にひとつだけのジーンズとなります。
色落ちを嫌がって洗濯をしない方も多いですが、洗濯のやり方を学べば色落ちの度合いも調整することができます。洗い方を工夫して、自分好みの色落ち具合を作るのも楽しみのひとつにすることができます。洗濯は“ジーンズを育てている”と思ってみてください。
洗った方が長持ちする
洗濯は適当にしてしまうと衣類にダメージを与えてしまうこともありますが、衛生面を保つことで劣化を遅らせることができます。そのために洗濯は重要なのです。汗や皮脂で汚れたジーンズは雑菌が繁殖します。
そのことでにおいが発生することはもちろん、生地にもダメージが出てしまいます。生地が傷むのは糸がもろくなっている状態なので、破れなどが起こることも考えられます。またカビが生えたり変色してしまうと、取り返しのつかない劣化となり、履くことができなくなる可能性もあります。
さらにデニム生地は洗濯をせずに着用を続けていると、繊維が伸びていく特徴もあります。しかし洗濯をすることで伸びを戻すこともでき、定期的なケアがジーンズの寿命を延ばすことに繋がります。
ジーンズの洗濯方法
それでは実際にジーンズの洗濯方法を見ていきましょう。ジーンズを洗うときは下準備をしっかりと行い、洗濯機で洗うか手洗いするかを選びましょう。デリケートなジーンズは手洗いがおすすめです。
洗濯の頻度は?
ジーンズの洗濯の頻度は、使用具合でも変わってきます。長時間使用し、汗やほこりなどがつく頻度が高いのなら、使用ごとに洗濯してもいいでしょう。また、全体的に色を落としていきたいという方も、洗濯の頻度を増やすことをおすすめします。
適度な色落ちと衛生面を両立させたいのなら、週に1度程度の洗濯で良いでしょう。生地を傷めることなく自然に色落ちを楽しめます。ジーンズの使用頻度が少ない方や、元々のジーンズの色を大切にしたい方は月に1度程度でも良いでしょう。
ただ夏場などは皮脂汚れによって生地を傷めてしまう可能性があります。汚れたと思ったら、部分洗いだけでもしておくとジーンズの寿命を延ばせます。
洗濯前に下準備
洗濯表示を確認しよう
ジーンズは他の衣類と同じように洗濯が必要ですが、「洗濯機に入れておしまい」というほど簡単なケアではありません。基本は水洗いでOKですが、ドライクリーニングが推奨されているものなどもあるので、しっかりと洗濯表示を確認しておきます。この表示に従って洗濯をしないと、失敗の原因となります。

洗剤を選ぶ
ジーンズを洗濯するときは洗剤選びも重要です。洗剤は色落ちを加速させてしまう働きもあるので、なるべく色落ちさせたくないというときは洗剤を使用しないというのもひとつの手法です。
しかし、汚れがひどい場合は水洗いだけでは落ちませんし、雑菌を除去するのも難しいでしょう。今はジーンズ専用の洗剤なども販売されていますので、自分がどのようなジーンズに育てたいかで選んでみると良いでしょう。
目立つ汚れは前処理を
食べこぼしや泥はねなど、明らか目立つ汚れは前もって処理をしてから洗濯に移りましょう。汚れの部分に洗濯用洗剤を直接塗り、軽く馴染ませておきます。
これで洗濯機に入れたとき、より汚れが落ちやすくなります。このときも洗濯表示はしっかりとチェックしておきましょう。おしゃれ着用洗い用の洗剤は割と万能ですので、ジーンズに向いています。
洗濯機での洗濯方法
それでは洗濯機での洗濯方法を見ていきましょう。
【手順】
- 手順1ホックなどを止めておくまずホック、ボタン、ファスナーなどはしっかりと閉めましょう。閉まっていないと金具が生地を傷つけてしまうおそれがあります。
- 手順2摩擦がないようジーンズを裏返す金具を閉めたらジーンズを裏返します。これは洗濯機の中で生地が擦れてしまうのを防ぐためです。それを防止する方法として、洗濯ネットを使用する方法もあります。
特にダメージジーンズなど、元から穴が開いているものやウォッシュタイプのジーンズは、洗濯ネットを使用してこれ以上ダメージが広がらないように守りましょう。ただ、ジーンズをたたんで洗うことになるのであまり汚れが落ちない可能性もあります。
- 手順3水に洗剤を溶かしておくジーンズの準備ができたら、洗濯層に水をはり、洗剤を溶かしておきます。ここでは必ず水を使用してください。温度の高いお湯ですと、色落ちが強く出てしまいます。
- 手順4)ジーンズを入れ洗濯機を回す洗剤がよく混ざったら、裏返したジーンズを入れて洗濯機を回していきます。強さの調節ができるなら「弱」で行いましょう。ジーンズ専用の洗濯剤がない場合はおしゃれ着洗いなどがおすすめです。あとは洗濯が終わるのを待って完了です。
手洗いでの洗濯方法
色落ちを最小限にしたいという場合は、手洗いの方が適切です。洗濯機ではどうしてもちょうどいい加減が難しいので、自分の裁量で行いたい方は手洗いを選ぶようにしてください。
【手順】
- 手順1ジーンズを裏返す洗濯機を使用する時と同じように、まずはジーンズを裏返しておきます。
- 手順2水に洗剤を溶かしておくジーンズが入る洗面器を用意して、水を張って洗剤を入れます。もしちょうどいい大きさのものがなければ、バスタブで行ってもいいでしょう。
- 手順3ジーンズを入れて押し洗い洗面器(もしくはバスタブ)に裏返したジーンズを入れ、手で押すようにして洗っていきます。それを20回ほど繰り返しましょう。もし汚れがひどい場合は、15分ほどつけおきしておくのもおすすめです。
- 手順4すすぎしっかりと汚れが落とせたら水をとりかえ、洗剤を流していきます。
- 手順5脱水洗剤が流せたら水を絞って終了ですが、上手く水を切れないときは1分ほど洗濯機の脱水にかけてもいいでしょう。その場合は洗濯ネットに入れるようにして下さい。
ジーンズの干し方
洗濯が終わったら、次は干す工程に移ります。ジーンズの脱水が終わった時点で、すぐに取り出すようにしましょう。長時間放置していると変なシワができてしまったり、形が崩れるおそれがあります。
【手順】
- 手順1ジーンズの形を整えシワを伸ばす脱水から取り出したジーンズはぐちゃぐちゃになっているかもしれません。一度ウエスト部分を伸ばし、3つ折りにしてたたむと元の形に戻すことができます。そこで軽くたたいておくとシワが伸びます。
- 手順2筒状になるよう干すジーンズの形を維持するためには、普段履いているのと同じ状態で吊るして干すのが理想的です。裏返しのままでいいので、ウエスト周りをピンチで挟み、筒状にして干しましょう。
こうすることで早く乾かす効果もあります。ジーンズの重みでシワもきれいに伸ばすことができますよ。干す場所は直射日光を避け、風通しの良い日影がおすすめです。直射日光は色あせの原因にもなるので注意が必要です。

ジーンズの保管方法
洗濯の最後は保管方法です。せっかく正しく洗濯できても、保管方法を間違えるとジーンズを傷めてしまいます。
基本のたたみ方
- 手順1ジーンズを股の部分から縦半分に折り足を重ね合わせます。
- 手順2股の部分が三角形に出っ張りができてしまうので、内側に折り込み長方形にします。
- 手順3三つ折りにして完成です。タンスなどのサイズに合わせて、二つ折りでも四つ折りでもいいでしょう。
丸めてたたむ
基本のたたみ方の工程2まで行ったら、裾からくるくると丸める方法もあります。よりコンパクトになり、立てて収納もできるのでクリーゼットにも収まりやすくなります。ただ、シワができてしまうこともありますので注意してください。
すぐ使うものは吊るして保管
ジーンズを日常的に愛用している方は、すぐに取り出しやすい吊るし保管がおすすめです。やり方は主に2通りあり、スラックス用のピンチ付きハンガーで吊るすか、S字フックを利用する方法です。
- ピンチ付きのハンガーの場合
- S字フックの場合
ピンチ付きのハンガーの場合はウエスト部分を挟むだけです。この方法はとても簡単で。ジーンズに変なシワをつけず形を保てるメリットがありますが、クローゼットの中でかなり幅を取ります。十分な収納スペースがある方や、ジーンズの本数が少ない方にはぴったりです。
100円均一で売っているようなS字フックを用意してください。S字フックが収納アイテムになるなんてちょっと驚きかもしれませんが、スタイリッシュに収納することができます。ベルトループにS字フックを引っ掛け、そのまま吊るすだけです。
まるでセレクトショップのようにジーンズを収納できます。ただ、長期間吊るしたままだとベルトループに負担がかかってしまい、伸びたり破損の恐れがありますので気をつけましょう。
洗濯できないときのケア方法
どうしてもジーンズの洗濯がこまめにできないときは、洗濯以外のケア方法を試しましょう。
消臭スプレーでにおいを取る
雑菌が繁殖するとにおいが出てきてしまうので、取り急ぎ市販の消臭スプレーで対応しましょう。ジーンズを裏返しにして適量をスプレーします。表に直接かけるより、変色などの危険性が低くなります。そして、必ず用法用量を守って使用しましょう。におい除去の方法としては、スチームアイロンのスチームを当てるのも効果がありますよ。
陰干しする
汗をかいたまま、ジーンズを放置することはかなりダメージを与えてしまいます。乾燥させることが重要ですので、洗濯できないときでも陰干しを心掛けましょう。やり方は洗濯時の干し方と同様で、裏返しにして日陰に筒状にして干してください。
ジーンズを洗濯するときの注意点
最後にジーンズを洗濯する時の注意点を見てみましょう。洗濯に失敗しないよう、きっちりとポイントを押さえてください。
ジーンズを洗濯するときは他の衣類と分ける
ジーンズを洗濯するときは、決して他の衣類と一緒に洗ってはいけません。ジーンズに使用されているインディゴ染料はかなり色落ちしやすいもので、他の衣類に色移りしてしまうおそれがあります。必ずジーンズ単体で洗濯します。
洗濯は短時間で済ます
洗濯機での洗濯は、一番時間が短いコースで行いましょう。時間が長くなるほど色落ちしてしまいますので、短い時間で様子を見てください。
乾燥器は使用しない
ジーンズの乾燥のさせ方は陰干しでお願いします。ついつい乾燥機で素早く乾かしたくなってしまいますが、ジーンズは綿素材なため、乾燥機を使用すると縮んでしまうことがあります。ジーンズは自然乾燥させるということを覚えておきましょう。
漂白剤入りの洗剤はNG
洗剤の中には漂白剤入りのものがあります。そのタイプをジーンズに使ってしまうと、予想以上に色落ちさせてしまったり、変な色落ちの仕方になってしまうことがあります。ジーンズの洗濯表示をしっかりと見て、使用してはいけない洗剤を把握しましょう。
大切なジーンズを長年使うための洗濯を
ジーンズを洗ってはいけないと思っている方はまだまだ多くいて、そんな方には今回の記事は衝撃的だったのではないでしょうか?ジーンズを大事にするために洗濯を控えていたのに、実はそれはジーンズを傷める行為だったなんてショックですよね。今からでもいいので、大切なジーンズはしっかりと洗濯をしてあげましょう。正しい洗濯方法を行っていれば、ずっと愛用できるジーンズにすることができますよ。