寒い季節に大活躍の、カシミア製品。肌触りや色あいにこだわって購入した方も多いのではないでしょうか?繊細な素材なのでお手入れが難しそうなイメージがありますが、ポイントを押さえれば、カシミアは5年、10年と長持ちしてくれます。大事に選んだカシミアを長く使っていただくために、セルフケアのポイントをたっぷりご紹介します。
目次
カシミア(カシミヤ)の特徴
カシミア(カシミヤ)とは、「カシミアゴート」というヤギのことです。”冬は極寒、夏は猛暑”のというとても厳しい気候条件の場所に生息しているため、気温の変化に対応できる、機能的で柔らかい毛に覆われています。
カシミア(カシミヤ)製品になるのはヤギのうぶ毛の部分で、セーター1枚を作るのに2〜3頭、コートでは7〜8頭のカシミアゴートが必要とします。希少な素材を使い、手間ひまをかけて丁寧に作りあげられたまさに高級品なのです。そんなカシミア(カシミヤ)のメリット・デメリットを見ていきましょう!
カシミアのメリット
軽さと保温性が高く”あたたかさが続く”
カシミア(カシミヤ)の繊維は非常に細く、とても軽いです。人間の毛髪の細さが約40~50ミクロン、モヘアが約30~50ミクロンといわれています。それに対し、カシミア(カシミヤ)は約14~16ミクロンと、ダントツで細いです!
カシミア(カシミヤ)には”外の空気を遮断し、中の熱を逃さない”という性質があります。繊維自体が自然とカールし、くるくると丸まりやすいため、あたたかい空気を内側に閉じ込めます。そのため、保温効果が続き冬でもポカポカとあたたかく過ごすことができます。
保湿性が高いので”蒸れにくい”
カシミア(カシミヤ)は私たちの髪の毛と同じように表面に”キューティクル”があります。そのキューティクル構造が、空気中の水分の吸収と放出を行い、湿度をコントロールしてくれるという優れものです。そのため、あたたかいのに蒸れにくいのです。
繊維が細く肌に刺激が少ないので”やわらかい”
世の中に出回っている動物の繊維製品のなかでは、一番細いとされるカシミア(カシミヤ)。ヤギのうぶ毛部分なのでとてもやわらかくて、肌に刺激が少なく、抜群の肌触りです。上質で希少な素材のため、別名”繊維の宝石”ともいわれています。
風合いのある”つや”
カシミア(カシミヤ)に含まれた油脂がカシミアの繊維を覆うことで、風合いのある”つや”が生まれます。カシミア(カシミヤ)ユーザーの間では”ぬめり感”と呼ばれ、長年愛される魅力の一つとなっています。
カシミア(カシミヤ)のデメリット
カシミアは高品質で文句なしのようですが、やはりデメリットもあります。
繊維が細いので”毛玉”ができやすい
カシミア(カシミヤ)の長所である”極細の繊維”ですが、実は気になる”毛玉”の原因のひとつです。また、うぶ毛部分の細くて短い繊維をまとめて1本の毛糸にしているため、毛の端っこが飛び出しやすく、どうしても”毛羽立ち”や”毛玉”というトラブルに繋がりやすいです。
特殊な加工がされていない天然の繊維だからこそ、毛玉ができやすいという側面もあります。
ニットの毛玉を何とかしたい!原因と正しい4つの取り方・防止策を伝授定期的なお手入れが必要
細くて柔らかく天然の獣毛なので、「脱いだらそのまま洗濯機へ!」と普通の衣類と同じお手入れというわけにはいきません。メリット・デメリットを踏まえた、カシミア(カシミヤ)専用のお手入れが必要となります。
カシミア(カシミヤ)のお手入れポイント5つ
今回は、ご自宅で続けられるカシミアのお手入れポイントを5つご紹介します。
一日着たら数日休ませる
着心地のいいカシミア(カシミヤ)のセーターやストール。寒い冬には重宝しますが、連続して着用すると、バックやコートとの摩擦などで、”型崩れ”や”毛玉”が発生しやくなります。毎日着用するのは控え、一度着たら数日休めましょう。数点ニットをチョイスしてローテーションを組むとコーディネートが広がって楽しくなりますよ。
また、休ませるタイミングで、日陰で平干しして風に当ててあげましょう。風を通すことで、臭いを飛ばすことができます。
着用後はブラッシングして毛並みを整える
乾燥や静電気が起こりやすい冬は、必要以上に繊維にホコリがつきやすく、摩擦で繊維が乱れがちです。放っておくと毛玉やシミになってしまうので、その日のうちにブラシで毛並みを整えましょう。
ブラシは、生地に傷をつけないために、天然獣毛の”豚毛”や”馬毛”で柔らかいブラシを使用しましょう。馬毛の方がやわらかいのでおすすめです。
ブラッシングの手順
大切な衣類ほどブラッシングでお手入れ
ブラシをかけることで、汚れを払うと同時に、”光沢感”や”ぬめり感”を取り戻す効果もあります。繊維の流れを整えることで、毛羽立ちを抑え、毛玉ができにくくなります。また、カシミア(カシミヤ)は”水分”に弱いため、クリーニングに出さずブラシでお手入れをする方が長持ちします。
お手入れ方法を熟知しているヨーロッパの紳士達はカシミア(カシミヤ)の衣類をクリーニングに出す人はほとんどいないそうです。大切な衣類はブラッシングでその都度メンテナンスしてあげましょう。
【2024年最新】洋服ブラシ人気おすすめ14選!選び方・使い方・手入れの仕方まで汚れや汗はすぐに拭き取る
汗は色落ちや変色の原因になります。また、シミになってしまうと大切なカシミア(カシミヤ)が”虫食い”の被害にあってしまうことも少なくありません。
”シミ”ができてしまった場合の対処法
”毛玉”や”毛羽立ち”対策
毛玉や毛羽立ちの宿敵は…”摩擦”です。ショルダーバックの肩ひもや、上着との擦れた部分に毛玉が出来てしまった経験はありませんか?極力気をつけたいですが、服を着て生活する以上”摩擦”はつきものですよね。カシミア(カシミヤ)の性質として、毛玉や毛羽立ちはどうしても発生してしまいます。
毛玉は引っ張らずにハサミでカット
毛玉ができたときは、決して引っ張らずに、ハサミで切り取るようにしてください。引っ張ると、カシミア(カシミヤ)の生地自体がいたんでしまいます。
もうひとつの方法として、スポンジの硬い面(お鍋のおこげを取る方)でそっとなでると毛玉が取れるという裏技もあります。買ったばかりの頃は毛玉になりやすいですが、着続けながらケアしていくうちに少しずつ毛玉ができにくくなります。
毛玉取り器・ブラシおすすめ人気20選!選び方・代用アイテム・予防法もニットの保管方法
大切にメンテナンスをしていたのに、次のシーズンに広げてみると虫食いに…なんて悲惨な事態にならないように適切な保管方法をご紹介します。
密閉できる衣類ケースと防虫剤のご用意を
カシミア(カシミヤ)やウールなどの天然素材は必ず”防虫剤”とセットで保管しましょう!防虫剤の効果が持続しやすい、しっかりと閉じられる衣類ケースなどがおすすめです。
防虫剤おすすめ人気13選!大切な衣類を守る選び方と効果的な使い方防虫剤の効果とは!使い方・虫食いが起きたときのチェックポイント・おすすめ商品14選
シワに注意!しまうときのポイント
シワになりやすいので、隙間なく収納するのはやめましょう。厚みのある重めのニットの上に薄いものを重ねていきましょう。一般的に防虫剤の成分は、空気より重いので衣類の一番上におくと効果が高まります。(使用する商品によって違う場合もあるので、使用商品の説明もご確認ください)
収納となると、ついつい入れられるだけ詰め込んでしまいますが、シワの原因にもなり、空気が滞って防虫剤の成分が行き渡りづらくなります。空気が通るような隙間を開け、余裕を持たせてしまいましょう。
カシミア(カシミヤ)コートのお手入れ
続いては、コートのお手入れです。
コートはきちんと着ればケアも簡単
一般的にコートは、屋外で来て室内で着ることは少ないので、食べこぼしや汗などで汚れる可能性は低いです。毎日連続で着ていたり、生地に負担のかかる着方をしていなければ、カシミア(カシミヤ)コートに着いてしまう汚れは大気中のホコリだけです。汚れが少ない分、お手入れもお手軽です。
室内などあたたかい場所ではきちんと脱ごう
暖房が効いている移動中の車内や電車の中で、コートを着たままではありませんか?
湿気を吸ってシワや伸びの原因に
あたたかく過ごせるカシミア(カシミヤ)のコートを着た状態で、屋外から屋内へ行くと、汗をかいてしまいます。また、屋内は湿度も高くなっています。コートの生地が湿度が高い屋内で湿気を吸い、乾燥した屋外へ出ると”型崩れ”に繋がってしまいます。
また、コートを着たまま座ると生地に負担がかかり生地が伸びてしまったり、摩擦して毛玉の原因になってしまいます。面倒でも、あたたかい場所では、なるべくコートを脱ぐように心がけましょう。
コートの首元の汚れ対策
コートを着ていて唯一肌が触れる首元。気づかないうちに日々の汗や汚れが染み付いてしまいます。冬ならではのアイテムで乗り切りましょう。
マフラーやタートルネックを組み合わせよう
コートの首元には、汗やファンデーションなどがついてしまう可能性があります。マフラーやタートルネックなどで、コートの生地に直接肌が触れないようにしましょう。マフラーやタートルネックのニットは少し汚れてしまっても、比較的ケアがしやすいですし、首元もあたたかく保つことができます。
ファンデーション汚れの落とし方・洗濯方法5つ!注意点や付着防止法も帰ってきたらブラッシングでささっとお手入れ
カシミアの質感を保つために最適なのは、”ブラッシング”です。ツヤを取り戻し、毛玉ができにくくしてくれます。外から帰ったら、ホコリを落として、乱れた表面を整えましょう。繊維に逆らうようにブラッシングし、そのあと繊維の流れに沿ってブラシをかけてください。襟やポケットなどの細かい部分もやさしく丁寧にブラッシングしてあげましょう。
カシミア(カシミヤ)に汚れがついたときの応急処置
ファンデーションや口紅には“ベンジン”
タートルネックの首元などに、ついついファンデーションや口紅がついてしまうことありませんか?そんなときは、”ベンジン”をやわらかい布か、綿棒につけトントンとやさしく叩き出しましょう。綿棒のときは、裏側に別の布をあててその布に吸い取ってもらうように行なってください。ベンジンを使用する場合は、換気を十分にしましょう。
それでも落ちないシミは、クリーニング屋さんに相談して早めに解決するようにしましょう。早急に対処しないと、カビや虫食いに繋がってしまいます。
シミ抜きを始める前に、”色落ち”しないかチェックしておきましょう。
白い布に、ベンジンをつけて、目立たないところを軽くたたきます。白い布にニットの色が付いてしまった場合、色落ちしてしまうので、ご自宅でのシミ抜きは控えましょう。
たたみジワには”スチーム”を
久しぶりに出したニットにたたみじわが…!そんなときは、ニットから少し離してアイロンのスチームを当てましょう。カシミア(カシミヤ)は、湿気の吸収や発散を繰り返すことで自然に形が戻る性質があります。
【2024年最新】スチームアイロンおすすめ人気14選!素材やコードの有無に注目して選ぼう突然の雨で濡れてしまったら…
カシミア(カシミヤ)に水分は大敵…!でも突然の雨などで濡れてしまうことってありますよね。
ドライヤーはNG!タオルで水分をとって、自然乾燥
ドライヤーなどで急速に熱を加えると繊維が硬くなってしまいます。タオルでやさしく水分を拭き取ったら、エアコンなどの効いた、あたたかい室内で自然乾燥させましょう。型崩れしないように、ハンガーなどにはかけず、バスタオルの上に平置きにするのがポイントです。乾いたらブラシをかけて繊維の流れを整えましょう。
お手入れを楽しみカシミア(カシミヤ)と長いお付き合いを
“軽くて、あたたかく、やさしい肌触り”の高品質で重宝されるカシミア(カシミヤ)ですが、美しく保つためにはいくつかポイントがありました。毛玉ができやすいですが、ブラッシングをするだけで、繊維の奥の汚れも落ちてつやが戻ってきます。カシミア(カシミヤ)は着続けることでやわらかくなり、”良い状態になる”といわれています。
天然の繊維の性質とうまく付き合い、味わい深く変化する風合いを楽しみながらお手入れしてみましょう。5年、10年と大切に美しく着ているものがクローゼットにあることで、豊かに年を重ねていけるはずです。