部屋干し臭・シミ取り・黄ばみなど洗濯の悩みはつきません。そんな悩みを解消してくれるのが、家に誰でも置いてあるであろう “酢” なんです。料理に使うだけと思っていた酢の成分のはたらきが、洗濯物の臭いと汚れをキレイにしてくれるということをご存知ですか?その驚きの効果と使い方を徹底的にご紹介します。
目次
洗濯に酢?洗濯に酢を使う効果とは?
柔軟剤の代わりになる?酢の臭いも残らない!
洗濯洗剤はアルカリ性です。洗剤の成分のアルカリ性が、衣類の繊維に残ることによって繊維の弾力性が失われて、さらにその状態で脱水することにより繊維が横に倒れてしまうのです。酸性の酢を入れることにより、洗剤のアルカリ性を中和し、繊維の弾力が失われないようにするため、洗濯物を柔らかくふっくらさせてくれます。
柔軟剤のアロマの強い匂いが苦手な方やアトピーなど肌が敏感な方にはおすすめです。また、柔軟剤を使い続けると衣類に油の膜ができて吸水性が低下しますが、酢であれば吸水性は失われません。
雑菌の繁殖防止、抗菌作用
酢は、雑菌の繁殖しやすい中性の環境を酸性に変えて繁殖を抑える効果があります。また、酢の抗菌作用は、酸度が高いとき、温度が高いときに強くなります。
洗濯物の消臭 洗濯洗剤の臭い残り・加齢臭
部屋干しの悪臭の原因は、「モラクセラ菌」で洗い残した皮脂などのタンパク質や洗濯洗剤の残りカスを餌として増殖し悪臭を放ちます。酢は抗菌作用があるため、酢の水に浸けておくと雑菌の繁殖を抑ることができます。臭いの原因となる雑菌の繁殖を抑えることにより、部屋干ししても臭くなりにくくなります。
黄ばみ、シミ抜き、つけおき洗いでキレイに
黄ばみ
衣類をシーズン終了時にしまうとき、酢をすすぎのときに仕上げとして使用すると黄ばみを防ぐことができます。もちろん、柔軟剤入れに酢を入れる方法でもOKです。
シミ抜き
(酢が酸性のため、中性洗剤でないと洗剤の効果がなくなります。 )
(変色する可能性があるため、すすぎは念入り行ってください。)
ジーンズなどの色落ちしやすいものの色落ち防止
洗濯槽の掃除
洗濯槽の用の洗浄液を使うより効果は低くなりますが、食品なので洗濯槽に残っても安心ですし、水も少なくて済みます。
縦型洗濯機の場合
(水量設定の機能がない場合は、水を足して洗濯機をスタートさせてください。)
(酢なので素手で行なっても大丈夫です。)
ドラム式洗濯機の場合
ドラム式洗濯機で酢を使う場合、途中でドアを開けてゴミを取り除く必要があるため、途中でドアが開けられるか確認しましょう。開けられない場合は、酢を諦めて塩素系漂白剤を使いましょう。(酸素系漂白剤だと泡立ってしまい、排水してしまうためおすすめしません)
(低水位設定にしておくとドアを開けられる可能性が高いです。)
洗濯時の酢の使い方
酢の種類
穀物酢(穀物とアルコールと酒粕でできたもの)
酢を入れるタイミング
すすぎのときに入れます。柔軟剤入れがあれば、そこに入れるとすすぎで自動的に投入されます。
洗濯で使える重曹と酢の違いは?一緒に使う使用方法は?
直接、重曹(弱アルカリ性)と酢(酸性)を混ぜると泡が出てきますが、反応して発生するのは炭酸ガス(二酸化炭素)のため無害です。アルカリ性の重曹やアルカリ性の洗濯洗剤に、最初から酢を入れてしまうと、アルカリ性と酸が反応して中和して、汚れを剥がす界面活性作用が落ちてしまいます。
そのため、酢を重曹と使うときは酢を入れるタイミングをすすぎ、もしくは柔軟剤入れに入れて使うことがおすすめです。
よく似ている酢とクエン酸の違い
洗濯機への入れ方
入れるクエン酸は粉であるため、柔軟剤の代わりに使うときは、すすぎのときに洗濯機を止めて入れる必要があります。酢は、柔軟剤入れがあればそこに入れるだけなので楽です。
揮発性
揮発性とは、常温・常圧で気体への変化のしやすさで、高いと液体から気体に変化しやすくなります。酢とクエン酸では酢の方が揮発性が高く、衣類残りにくいです。
使用量
クエン酸はレモンなどに含まれる酸味成分で少量でも効果がありますが、酢は洗濯に有効な成分は5%程度の酢酸で全てが有効成分ではないため、クエン酸に比べて使用量が多くなります。
臭い
酢は臭いがありますが、クエン酸は無臭です。ただし、洗濯で酢を使う場合は臭いはなくなりますのでご安心ください。
クエン酸を使った正しいお洗濯方法と注意点・疑問点を徹底解決!発展編 こんなものにも酢で洗濯すれば効果がある!
布オムツ
尿に含まれるアンモニアは弱アルカリ性であるため、弱酸性の酢を使えばアンモニアを中和することができます。さらに、抗菌作用がある上、食品でもあるため安心して赤ちゃんに触れるものに使えます。
布オムツの洗い方
布オムツのカバーは、撥水加工が取れてしまうのでつけ置きは避けましょう。また、うんちが付いている場合は、落とせるものはトイレに流し、別のバケツに水を張って振り洗いして、うんちが取れたらバケツの水はトイレに流します。まだ黄ばみが付いているときは、洗濯石鹸をつけてつまみ洗いをしてから、上記の酢のバケツにつけて置きます。
ヨーロッパなどで硬水が多い地域での洗濯
ヨーロッパ、アメリカ南西部に多い硬水とは、カルシウムやマグネシウムの含有量が多い水のことです。硬水で洗濯洗剤を使って普通に洗うと、洗濯洗剤と硬水に含まれるカルシウムが混ざると石鹸カスとなり、衣服に灰色のカスと臭いが残ります。
硬水の地域の洗濯洗剤のほとんどには、硬水軟化剤が含まれていますが、すすぎのときに酢を使えば柔軟剤の代わりにもなりますし、硬水のカルシウムを溶かし、洗剤のアルカリ性を中和してくれるため石鹸カスで洋服が灰色になるのを防げます。
ヨーロッパではカルゴンというカルシウムを中和する硬水軟化剤が売られていますが、値段が高いので酢は経済的ですね。
失敗!ティッシュを一緒に洗濯したときの対処
酢で洗濯するときに気をつけたいポイント
酢と塩素系漂白洗剤
酢の酸と塩素系漂白剤の塩素が混ざると塩素ガスが発生し危険なため、一緒に使わないようにしましょう。酢は揮発性が高く、乾けば酸がなくなりますので乾いた後に使うのは大丈夫です。酸素系漂白剤であれば一緒に使用しても問題ありません。
酢と合成洗剤
液体・固体・洗濯用などに関わらず、洗剤には石鹸と合成洗剤があります。石鹸は昔からあって、天然の油脂とアルカリでできたシンプルなものです。それに対して合成洗剤は第一次大戦後にできた複雑な構造をしているもので、微量ですが有害物資が入っている可能性があるため、アトピー性皮膚炎などの肌が敏感な方やナチュラル派の方は避けたいものです。
パッケージの表示部分を見ると、「洗濯用石けん」と書いてあれば石鹸で、「合成洗剤」「複合石鹸」と書いてあると合成洗剤が含まれています。表示を見れば一目瞭然ですが、合成洗剤の性質もわかる酢による実験が下記の通りです。
合成洗剤を見分ける方法
- 合成洗剤 → 泡が消えずに変化がない
- 石鹸 → 泡が消えて白く濁る
- 複合石鹸 → 泡が消えずに白く濁る
合成洗剤は、中性なので酸性の酢と反応しないからです。
石鹸は脂肪酸とアルカリが結びついてできたのであるため、酢の酸性がアルカリを
中和して、白い脂肪酸が出て白く濁ります。
複合石鹸は合成洗剤と石鹸が混ざっているので、反応の仕方も混ざっています。
上記から合成洗剤は中性であるため、酢の酸性で中和することができません。石鹸はアルカリ性のみの性質ですが、合成洗剤の中には「中性」「酸性」「アルカリ性」などいろいろな性質のものがあります。パッケージ裏の表示に「中性」など性質が記載されてますので確認しましょう。
家にある酢を洗濯で使いこなせば、臭いも汚れもスッキリ!
誰でも家にある酢。手軽に使える、植物由来で肌にも優しく、さらにその効果も素晴らしいですね!臭いと汚れが気になったら、是非酢を使ってみましょう。