日々行う習慣にウッカリは付きものです。予洗いもネットに入れるのもしっかり済ませていざ洗濯機を回してみたら、干す段階で洗濯物の間からシワシワの紙が落ちてきた…という悲劇も起こり得るものです。きれいに洗ってしまったこのお札、果たしてどうしたら良いのでしょうか?
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ポケットにお札を入れたまま洗濯したら
慌ただしい日々のなか、お財布を開くよりも手っ取り早くポケットにお釣りを入れるような場面に心当たりがある方も少なくないのではないでしょうか?そうでなくてもパートナーやお子さんがいれば人数分だけポケットが増え、ウッカリも珍しいものではありません。
「洗濯ウッカリあるある」の代表格であるティッシュは、その後掃除するしかないものですが、お札となると「洗った後のお札って乾かせば使える?使えない?」という全く別の心配が起こります。
意外と破れてない?ところが…縮んでる!
水流と洗剤で撹拌されたお札ですが、ほとんどの場合は破けて散らばることがありません。というのも、お札(日本銀行券)の素材はただの紙ではないためです。
水に強い高級和紙の原料である『みつまた』、織物や船舶係留用のロープなどにも使われている『マニラ麻』がその原料であり、徹底した偽造・汚損防止対策が施されています。
例外は、洗濯前から破れ目があったり、四つ折りにせずにぐしゃっと丸めた状態でポケットに入れていたりするケースです。バラバラになっていたら洗濯機や洗濯物のなかを探して集めておきましょう。マスキングテープで繋ぎ合わせたりクリアファイルにまとめておくと良いでしょう。
ところで、綿などで作られた衣類は洗濯するとどうしても縮むものですよね。繊維が水を含むことによって起きる現象で、綿と同じく植物の繊維で作られたお札も例外ではありません。
お財布のなかに無事な等価のお札があれば重ね合わせてみると一目瞭然でしょう。ほんの1~3mm程度、縮んでいませんか?
やっておきたい応急処置&覚えておきたい注意点
洗濯によって濡れてしまったお札はひとまず乾燥させましょう。ドライヤー、または当て布をしてアイロンをかけるのがお手軽な手段として浮かびますが、実は現行の紙幣にあしらわれている偽造防止ホログラムは熱に弱いという性質があります。
そのためいずれも低温で使用し、ある程度水気が飛んだ後はタオルで挟んだ上に分厚い本などを乗せて湿気を吸わせる方法をおすすめします。
また、窓ガラスに貼って自然乾燥させるという方法もあります。空気を抜くようにして室内側の窓ガラスにぴったりと貼り付け、そのまま置いておくだけでOKです。窓ガラスから落ちたら先述と同様に重石をかけると良いでしょう。
アイロンがけに当て布はなぜ必要?使用したい衣類の素材・ガーゼなどの代用品・おすすめ当て布もご紹介洗って乾かしたお札…でもそのまま使うのは絶対にNG!
「お札を乾かしたらもう大丈夫!使ってOK!」というわけでは、残念ながらありません。お札は非常に厳密に作られています。1~3mm程度でも縮んでしまえば、それはもう規格とは異なります。
自動販売機や駅の自動券売機などで、何度入れてもお札を認識してくれなかった経験はありませんか?これはまさに機械にプログラムされている規格と投入したお札のサイズが異なるためで、偽札ではなくても偽札投入防止に引っかかってしまっているのです。
洗ってしまったお札をそのまま買い物に使い市場に流してしまうと、いずれどこかで誰かの不具合が起こります。次に使う人のために解決しておきましょう。
縮んでしまったお札は、全国各地にある『日本銀行の本支店』で引き換えが可能です。
破れている場合は「券面の3分の2以上が残存」、または「券面の5分の2以上3分の2未満が残存」していることを確認してくださいね。
お札を洗濯で綺麗にしたい!洗いたい!そんなときどうしたら?
「お札 洗濯」で検索する方のなかには、「お札を洗濯したい…」なんて気持ちを秘めた方もいるのではと思います。何しろお金は巡るものです。普段何気なく手にするお札について、自分の前に誰が触ってきたのかが分かる人はまずいないでしょう。
またすぐ自分のお財布から離れていってしまうにしても、殺菌消毒についてふと考えてみることもあるかもしれません。
お札には菌がいっぱい?
銅は水分と混ざることで強い殺菌機能を発揮します。硬貨には多かれ少なかれ銅が含まれているため殺菌効果があるのですが、植物繊維だけで作られた紙幣にはありません。
『株式会社衛生微生物研究センター』の調査(※)によると、紙幣には多くの汚染細菌が付着していること、10枚のうち2枚もの紙幣から食中毒の原因になるセレウス菌が発見されたことが報告されています。
他では、アクネ菌、大腸菌、ピロリ菌、インフルエンザウイルスなどが発見されたという報告もあります。
※参考元:@Press
水を使わない殺菌消毒のススメ
前提として、もっとも効果的な手段が手洗いなのは間違いありません。現代は世界的に進んでいるキャッシュレス化も、衛生への懸念には最適の解決策でしょう。
しかしもしお子さんに渡す必要があるなどで、どうしてもお札を殺菌消毒したいのであれば、前項目でご紹介した通り、縮む恐れのある水洗いやホログラム破損の恐れがある高温殺菌を避けましょう。
もっともポピュラーなのはアルコール消毒です。直接濡らすのではなく、アルコールをスプレーした布で両面を優しく拭き取ると良いでしょう。また、セレウス菌の消毒が目的であれば次亜塩素酸水溶液スプレー『キエルキン』がおすすめです。
洗濯してしまったお札は次に使う人のために銀行へ交換しに行こう
次に誰かの手に渡るものは、いつか自分に回ってくるものかもしれません。また、「お金は大事に扱う人の所に戻ってくる」ともいわれています。誤って洗濯してしまっても、しっかり取替まで面倒を見てあげることできっと風向きが良くなることでしょう。