クリーニングに出した衣類に、もしトラブルがあった場合、どのように対処したら良いのでしょうか。実はトラブルの原因はクリーニング店だけとは限りません。クリーニングトラブルが起こる原因や事例、対処法など詳しくお伝えします。
目次
クリーニングトラブルが起こる3つの原因
1.クリーニング店側の原因
クリーニングトラブルが起こると、一番に想定するのが「クリーニング店側に原因があるのではないか」ということですよね。クリーニング店での衣類の取り扱いが原因で発生するトラブルには、洗浄時の洗濯ミスや機械のトラブル、生地の風合いの変化、生地の破れ、紛失などがあります。
2.お客様側の原因
お客様が原因の場合もあり、衣類の取り扱い状況や着用状態によってトラブルが発生します。
また、そもそもクリーニングに出す段階での勘違いということもあります。元々シミができていたのに気づかなかった、長年着用していたので生地が傷んでいたという場合も少なくありません。
3.アパレルメーカーの原因
アパレルメーカーが原因で起こる場合は、製造や設計段階での不具合です。色落ち(染色堅ろう度不良)や剥離、縮み、風合いの変化などのトラブルが考えられます。染色堅ろう度とは、染色の丈夫さの度合いを示すものであり、製造過程において色止めができていなかったといえます。
製造過程で起こったトラブルに関しては、クリーニング店とアパレルメーカーでの補償交渉となるため、お客様は関与ができません。しかし、アパレルメーカー側が責任を認めなかった場合などは、消費者センターへ相談すると良いでしょう。
実際にあった!クリーニングトラブルの事例
衣類が破れた
クリーニングで破れてしまうトラブルが多いのは、ワイシャツやカッターシャツです。洗濯表示と異なった洗い方をした場合や、洗濯中に洗濯物同士が絡まり合うことで起こります。
ただし、クリーニング店だけでなくお客様側にも責任があることがあります。ワイシャツの寿命は約2年といわれており、長年繰り返し着用することで生地が薄くなってしまい、その上でクリーニングの圧力をかけるため、生地が破れてしまうというケースです。
変色や色移りが起こった
変色したり色落ちしたりするトラブルの原因は、衣類に沿った適切な方法で洗濯できていなかったということが考えられます。
特に綿やナイロン生地を使用している衣類の肩や袖、裾際の部分は、変色が起こりやすいともいわれています。
色移りは、衣類の仕分けがきちんと行われていないことが原因で起こることがほとんどです。薄い色の衣類と濃い色の衣類を一緒に洗うことで、薄い色の衣類に色移りします。
ボタンが割れた、ボタンが落ちた
クリーニングで起こるトラブルとして、多いのがボタンが割れたり落ちるといったことです。クリーニングをする工程で起こるので、ボタンが落ちて紛失した場合には見つけるのも困難になります。
衣類についているボタンはすべてデザインもそろっていることが多いため、1つ割れたり落としてしまうだけで、衣類のデザインを損ねてしまう恐れもあります。
シミが出ている
クリーニングに出す前にはなかったのに、戻ってきた衣類にはシミがついているといったトラブルもあります。ただし、クリーニング店でのミスにより、シミがつくこともありますが、クリーニングに出す前からシミがついていたということも考えられます。
また、クリーニングに出す前は気づかなかったシミが、ドライクリーニングによって浮き出ることもあります。
風合いが損なわれた
セーターやコートなどでよく起こるトラブルです。柔らかい生地の衣類だったのに、クリーニング後にゴワゴワしている、生地が硬くなった、見た目がテカテカしているなどクリーニングに出す前と出した後で明らかに違うことがあります。
これは、クリーニングの洗浄工程で起こるトラブルで、使用する洗剤や洗い方が原因であることが多いです。
紛失した
クリーニングに出した衣類が紛失により、手元に戻ってこないというトラブルです。考えられる原因としては、衣類を管理するタック(細い紙)の付け間違いや付けたタックが切れてしまい分からなくなったり、配送中の紛失、店頭での渡し間違いがあります。
紛失はクリーニング店の管理ミスで起こるものです。クリーニング店の規模が大きいほど、紛失トラブルが多く発生する傾向にあります。特に利用者の多い、衣替えの時期に紛失が多くなるといわれています。
クリーニングトラブルにあってしまったら!
お店に相談しよう
クリーニングに出した後、衣類にトラブルが発生したら、まずはクリーニングに出したお店に相談をし、状況などを説明して原因を調査してもらってください。お店への相談は早ければ早いほど良いです。原因も判明しやすく、解決もしやすくなります。
そして、トラブルが起きた原因が明確になった後は、全国クリーニング生活衛生同業組合連合会の定める「クリーニング事故賠償基準」に照らし合わせて解決するのが一般的です。また、お店によっては「クリーニング保険」が利用できることもあるので、店員さんに確認しましょう。
賠償の対象になる場合
クリーニング店の責任により、トラブルが発生した場合は、「クリーニング賠償基準」をもとに賠償となります。
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- クリーニング賠償基準とは
クリーニング賠償基準とは、お客様の簡易迅速な救済を図り、公平かつ効率的にトラブルを解決することを目的として作成しています。
全国クリーニング環境衛生同業組合連合会が中心になり、消費者、学識経験者、日本弁護士連合会、繊維業界、流通販売業者、保険会社、経済産業省、厚生労働省、クリーニング業者の各代表が集まり定められたものです。
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- 賠償額について
クリーニング賠償基準に沿い、賠償されるとなった衣類の賠償額は、購入からの時間経過や衣類の傷みやすさによって変わってきます。賠償額は、算定方法が定まっており、それに則って行われます。また、特約がある場合はこれに限りません。
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- 「Sマーク」「LDマーク」について
「Sマーク」や「LDマーク」のついているクリーニング店は、クリーニング賠償基準により事故対応を行うという店舗です。これらのマークは、業界の自主基準でありますが、すべてのクリーニング店が対応しているわけではありません。
賠償の対象にならない場合
クリーニングでのドラブルが起こった場合でも賠償にならないケースもあります。
原因が分からない場合
クリーニング店に問い合わせても、トラブルが起きた原因が不明な場合もありますよね。その場合には、第三者に究明してもらうことをおすすめします。
「クリーニング綜合研究所」では、科学的なクリーニングの鑑定サービスを行っています。お店の方へ鑑定サービスを利用するよう、依頼してください。
解決しない場合は消費者センターへ相談しよう
さまざまな機関を利用しても原因が分からない場合、また原因は解明したけれど納得がいかない場合は、消費者センターへ相談しましょう。消費者センターはお住いの市区町村にありますし、電話や対面でも相談することができます。
また、「ADR(裁判外紛争解決手続)機関」もあります。ADRは国民生活センターに設置されており、和解の仲介や仲裁を行ってくれます。
クリーニングトラブルに合わないためのポイント
クリーニング店に預けるとき
衣類を預ける時には、あらかじめ汚れている場所、シミがある場所、素材の特徴などを伝えておきましょう。そしてスーツなどセットの衣類は一緒に依頼をし、付属品がある場合は預かり証に記載してもらいます。
預かり証は必ず受け取るようにして、大切に保管しておきましょう。
衣類を受け取るとき
衣類を預けた際に、仕上がり日を確認しましょう。。可能なら、仕上がり日直後に受け取るようにしてください。そして、衣類の状態をすぐに確認しましょう。
このとき、気になる点や仕上がりに納得いかない場合は、できるだけ早くクリーニング店に連絡して伝えるようにしましょう。
宅配クリーニングを利用するとき
利便性が高いことで人気の宅配クリーニングサービスですが、トラブルも増加しています。宅配クリーニングは対面でチェックができないため、汚れの場所など事前の通達事項が伝わらなかったり、紛失に気付きにくかったりする場合があります。。
宅配クリーニングを利用する際には、インターネットの口コミを参考にするなど、これまでにトラブルがあったかどうか、トラブルが起きた際の対応はどうだったのかなどチェックしておきましょう。
また、利用する前には問い合わせ先を確認してサイトの規約、料金、サービス内容もしっかり確認することをおすすめします。
クリーニングトラブルが起こらないように事前に確認しよう
クリーニングに出してトラブルが起こったからといって、すべてクリーニング店が原因とは限りません。依頼主の着用状況や保管方法、アパレルメーカーが原因の場合もあります。様々な要因が重なるため、責任を特定するのが難しいことも少なくありません。
クリーニング店に出す前に必ずご自身でチェックしておくなど、「今までクリーニング店でトラブルが起きたことがない」という人も、万が一に備えてトラブルに合わないためのポイントをしっかりチェックしておきましょう。